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Nicca 3-F/撮れなくても手放せなかった美しき工業製品

Nicca 3-F
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カメラフリークの方々であれば、お馴染みのコピーライカ。

日本で製造されたコピーライカといえばレオタックスが有名ですが、今回ご紹介する「Nicca 3-F」もいわゆるコピーライかの1つなのだそう。

フィルムカメラ ビンテージ

栃木県内の中古カメラ店で

1996年生まれとあって物心ついた2000年代初頭にはコンデジ最盛期、ギリギリ「写ルンです」があったかどうかという時代。

なので「写ルンです」以外、フィルムカメラを使ったことがなかったわけですが、何の気なしにぶらりと立ち寄った栃木県内の中古カメラ店。

そこでこいつ、「Nicca 3-F」を見つけました。

Nicca 3-F/なぜか手放せなかった美しき工業製品

フィルムにどこか惹かれて

それまでというものほぼデジタルカメラしか使ったことがなかったので、フィルムに関してはど素人。

今思い返すと、フィルムっぽいデジタルという意味では「FUJIFILM X-Pro」は使ったことがありましたが、どこまで行ってもデジタルはデジタル。

ただデジタルでも「FUJIFILM X-Pro」を買ったのは、どこかフィルムライクなカメラに心のどこかで惹かれるものがあったのかもしれません。

フィルムカメラ

そんな中、「Nicca 3-F」を見つけて。

見つけてというか、考える間もなく、もう気がついた時には会計を済ませていました。

一目で気に入ってしまったのです。デザイン的にも剛性的にも、このメカメカしくいかにも工業製品ぽい、古そうなのに繊細さを感じるカメラが。

購入時期は今から5年ほど前、会社を設立したかしていないかだったので、2020年ごろ。

価格は15,000円ほどだったと記憶しています。

ライカよりもライカ

会社設立前後でお金にシビアだったはずが、その15,000円をなんとも思わないほど、このカメラのビジュアルに惚れ込んでしましました。

元々ライカが格好いいという認識は持っていたのですが、M8、M9は見た感じ若干大きいなと感じていました。

そのこともあり「Nicca 3-F」を手に収めた時、すっぽりと手に収まる感じが、もう堪らなくイイ感じ。だったのです。

Nicca 3-F

ライカは確かに、間違いなく格好いい、唯一無二の存在だと思います。

でもその時の自分に合っている格好良さ、という意味では、ライカよりもライカ、ライカ以上の格好よさを「Nicca 3-F」に感じました。

この工業的な必要であるが故のデザイン、見た目のためではなく必要だからされている装飾。

こういう工業的な必要不可欠なデザインに美しさを感じます。

フィルムとレンズを揃えて

その後、ウキウキで「Nicca 3-F」を持ち帰ったのはいいものの、フィルム素人なので色々なブログを見て回ってること数時間。

ひとまず数日後にはフィルムとレンズも手元に届きました。

フィルムやレンズが届くまでの間、ファインダーを除いたり、シャッターを切ったり、それはもう子供がおもちゃをいじるように触っていました。

fed industar-26m 5cm f2.8 Nicca 3-F

購入したフィルムは「KODAK UltraMAX 400」、10本セットで6,000円ほど。

今では下手すると4倍近いので、考えられない値段ですね。

ネガフィルム

レンズは以前ブログにも書いた「FED industar-26m 5cm F2.8」、当時で確か7,000円ほど。

「レンズは資産」というのは本当ですね。

そこの言葉通り、このレンズは今でも時たま使っています。

といってもほぼ「FUJIFILM XH-1」での使用なので、ミラーレスですが。

FED industar-26m 5cm F2.8

そんなこんなでやっとフィルムとレンズが揃い、「Nicca 3-F」を“動かせる”時が来ました。

他の方のブログや動画サイトを見ながら、まさに見よう見まねで、ワクワクしながらフィルムを装填。

あれこれセッティングして、そしてついにシャッターを…。

手放せなかった美しき工業製品

ん? 何か変、おかしい…。

ブログや動画サイトでもフィルムカメラの扱いを見ていたので、よくわからないけど何かがおかしいことは察しました。

シャッターは切れているような感じなのに、切れていない?

調べてみると、概ね壊れているようでした。

Nicca 3-F

すぐに購入した店舗に連絡して返品しようと思いました。

けど、連絡するのも手放すのもやめました。

それはというと、これで返品して10,000円が戻ってくることより、撮れなくても壊れていようが「Nicca 3-F」が手元にあった方が、いてくれた方がいいなと感じたから。

フィルムカメラ

15,000円の使えないカメラがあっても意味がない。多くの人はそう思うと思います。

自分自身、このカメラを手に入れるまではそうでした。むしろ人より強くそう思う方だと思います。

どこまで行ってもカメラは、撮影の道具であるという思いがあったので。

でも今思い返すと真逆のことを想わせてくれる、この工業的美しさのあるカメラに出会えてよかったとさえ思っています。

これからもずっと手元に置いておくことになるでしょう。

撮れないけど。

今、会社で映像や写真撮影サービスを行っているのも、このカメラがある意味ターニングポイントになったかと思うと少し感慨深い気もします。

撮れないけど。

 

そんなこともあり、数ヶ月後にはCONTAX G1を購入することになりますが、それはまた後日。